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2008.07.02

[その他]大腸菌におけるクエン酸利用進化の論文を読む

 所属している研究室のセミナーで論文の紹介(他人が発表した論文を読んで紹介する)をすることは毎年必ずある。なるべく、理論を主に扱った論文ではないもの、まとまった仕事の一角であるもの、それからもちろん自分でおもしろそうだと感じる(いわゆる”ぐっとくる”)ものにしている。今回は(あちこちーたとえばこちら)でも取り上げられているがLenskiのグループの大腸菌におけるクエン酸利用の実験進化の論文にした。
 3万3千世代あまり経過後に、クエン酸を利用できるものが進化したというのが扱っている現象である。500世代おきに凍結したサンプルをとっていて、ただそれを調べるだけではなくそこからまた世代を重ねさせること(論文では進化のリプレイと呼んでいる)ができる。この進化のリプレイを駆使して、3万3千世代よりも前にクエン酸を利用はできるもののあまり効率的には使えない”弱い”クエン酸利用が進化しいること、さらにその弱いクエン酸利用も出現する前の、2万世代より後の時期にクエン酸利用が出現しやすくなるような変化が起こっていること(論文ではpotentiatingと呼んでいる)を示している。個体数を考えると、30000世代というと、個体群レベルでは各塩基対ごとにすべての状態を余裕で経験していると考えていい長さになる(という計算[一部は引用されている論文にだが]も出てくる)。この論文は、分子的あるいは生理学的なしくみの予備知識があまりなくても理解しやすい。実験そのものの多くは、”進化のリプレイ”を除くと、古典的な生物学的な香りの”見たり、数えたり”するものである。
 さて、培養や飼育していたものに、とても変わった個体が出現したという場合、同僚のもっとも普通の反応は”コンタミちゃうの”だろう。この論文でも、まっさきにチェックされているのはコンタミネーション(他からの混入)の可能性である。

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