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2008.03.23

[その他]生態学会大会-聞けなかった

 実行委員会側だとあまり発表を聞けないだろうとは思ってはいたが、予想をだいぶ上回っていた。結局、自分が発表者やオーガナイザーだったり、何か問題があったので実行委員会側として行ったというところを除けば、まったく聞くことはできなかった。ポスターは少しは・・・と思っていたのだが、聞いていたら電話で呼び出される(もちろん呼び出す方が当然なのである)などで、こちらも数枚をちらりと見たくらいに終わった(だいぶ規模が小さければ、そんなことはないと思う)。
 うれしいわけではないが、はじめての経験もあった。2台の携帯電話類を持ち、片方での通話中にもう片方も着信というのは、普段、携帯電話類をあまり持ち歩かないので初めてだった(通話可能範囲の問題で、大会中は2台持っていた)。
 ベイズ企画集会は委員会のフォーラムと同じ時間帯だったので出られなかったのは仕方がないのだが、いつもだったら見落とすはずもない発表もまったく気づかないという状態で(自分用の講演要旨集を受け取るのを忘れていたし)あとでいくつか残念な思いもした。
 たとえば、「集団で行進するクロバネキノコバエ科幼虫armywormの分布域と種多様性 須島充昭, 加藤俊英, 伊藤元己(東大・総合文化)」である(Tさん[東北大]が発表の存在を教えてくださった)。このハエはSciara属である(と要旨にある)。行列をつくることで知られていて、ギョウレツウジバエと呼ばれていたこともある。
 Sciara属といえば、変わった遺伝の様式でも知られており、1920-30年代にかけてはかなりの論文が出ている(おもに、PNAS,Genetics,Am.Nat.に発表されている)。他にも累代飼育できたので、当時、遺伝の研究の材料になったがその後あまり研究されていない、このような生物はいくつかある。Sciara coprophilaでの研究によると、メスの体細胞は、6本の常染色体とX染色体2本の合計8本の染色体を持つ。一方、オスの体細胞は、6本の常染色体とX染色体1本の合計7本の染色体を持つ。これだけ見ると、いかにもよくある、XX-XOに見える。すると、卵(未受精)は3本の常染色体とX染色体1本で計4本、精子はX染色体1本ないし0本と3本の常染色体で計4本ないし3本となるはずである。実際には、精子は7本の染色体、卵(未受精卵)は5本の染色体を持つ。そして、受精卵(接合体)は、12本の染色体を持つ。体細胞よりもだいぶ多いわけである。もちろんこれだけでは染色体数のつじつまが合わなくなる。受精卵から通常の体細胞のあいだに染色体が除去されるわけである。精子の7本の染色体の内訳は、常染色体が3本、X染色体が2本、その他(L染色体と呼ばれる)が2本である。卵(未受精卵)は常染色体が3本、X染色体が1本、L染色体が1本で、5本である。受精卵は、常染色体が6本、X染色体が3本、L染色体が3本で、メスの体細胞はここからL染色体すべてと父親由来のX染色体が1本除去される。オスでは、L染色体すべてと父親由来のX染色体が2本除去される(W.Hennig編集の本[論文集]のGerbiの総説に基づいています)。
 ほとんど生殖細胞に限られるL(limitedの頭文字だそうだ)はいったい何なのだ、とも思うが、こんな遺伝の様式の生き物ではどんな社会行動(広義)が進化するだろうかと考えるとややくらくらする(15年前にHaigが理論的な論文を書いている)。
(3/26に加筆しました)

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