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2005.08.02

[統計]交互作用

 交互作用(interactionーここで述べるようなときは相互作用と言わないのが普通)の検定はいろいろなところであらわれる。たとえば、ある薬をかけると体が重くなるとしよう。薬の効果は、その薬をかけたとき(実験区ないしは処理区)とかけないとき(対照区)の体重を比べればよい。では、他の条件がちがっても薬の効果は同じだろうかーというのが、交互作用の説明でもよく出てくる(たぶん)もっとも単純な場合である。たとえば、餌をたくさん与えているときと、餌を少ししか与えていないときでは、薬の効果は同じだろうか、といった問題である。この例での餌の多い少ないのような、薬以外の条件が異なると、薬の効果が異なることを交互作用があると言っている。交互作用は、ある要因の効果が、他の要因によってことなるかどうかを、問題にしているので、最低でも4通りの実験処理の組み合わせが出てくるのが普通である、上の例だと、餌が多くて薬あり、餌が多くて薬なし、餌が少なくて薬あり、餌が少なくて薬なし、である。
 交互作用の検定といえば、分散分析(ANOVA)を連想する人も多いだろう。他のは知らないという人も結構いるかもしれない。実際、交互作用の検定の大部分は(分野とテーマにもよるが)分散分析で行われてきた。分散分析の、説明変数と目的変数の期待値のあいだの関係式(回帰式だと思ってもらってもよい)は一次式で(だから)、交互作用がないとは、実験区と対照区のが他の要因によって変わらないことである。薬と体重の例なら、(薬ありの体重マイナス薬なしの体重)が餌が多いときも少ないときも同じだということである。分散が等しいかとか正規分布しているかといった問題は実際検定しようとすればいろいろあるが、分散分析での交互作用がないことの定義についてはとくに難しいこともなく、入門的教科書にもよく読むと書いてあることが多い。
 ところで、研究者が”○○の効果が同じである”というときには、差ではなくて割合が等しいことを意味していることも多い。体重の例なら、餌条件によらず、体重を対照区に比べて同じ割合(たとえば10%)増やすことを、”効果が同じ”と考えていることも多い。当たり前だが、そんなときには、分散分析の交互作用の検定は関係がない。
 ”処理の効果が同じ”というのが差ではなくて割合が同じであることを意味していることが多いのは、あまり意外ではないだろう。分散分析で交互作用がないとは差が同じであることもよく知られたといってもよさそうな知識である。だが、両者を掛け合わせると意外にもあまり当たり前ではなくなるようだ。ちょっと(1週間くらい)前からふと、過去(とくに一般化線形モデルがほとんどつかわれない、”正規分布帝国時代”)の論文を見ると、割合を問題にすべきだろうと思えるのに分散分析の交互作用の検定をしている例がごろごろ見つかった。
 差が等しいのと割合が等しいのが同じことを意味するためには、たとえば処理区の体重がまったく同じでなければいけない。少しの差ならあまりたいしたことはないように思えるかもしれないが、実際に計算してみると(もちろん個々の実例によってちがうが)、割合で行くか差で行くかではけっこうちがうことが多い。自分の分野や研究テーマの論文でもチェックしてみると、おおっ、と思うような例に行き当たる可能性は決して小さくない。ご自分では発表ないし指摘できない(しにくい)という方は、私に教えてください。
 この話題はたぶんあと2回くらい続きます。

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