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2005.06.07

[統計]生物と統計と基礎

 生物学者に統計というと、しばらく前までは、t検定に分散分析、回帰に相関係数(r)、分割表のカイ2乗検定というところが基本だったと思う。1980年代くらいには、これにU検定やWilcoxonの符号化順位検定、順位相関係数といったノンパラメトリックな検定が付け加わった。
 今はどうだろうか。もし、基本として1つだけ選ぶとしたら、尤度ではないだろうか(1つだけという設定がかなり無理なので他のものを選ぶ人もいるだろうが)。それほど実際のデータの解析で尤度や最尤法の登場頻度は高い。いま、”生物統計学”といった授業で実際にデータ解析に使われることを想定して教えるなら(学部3年生後半から4年生くらいを想定)、尤度、最尤法、一般化線形モデル(GLM)を抜かすわけにはいかないと思う(そろそろベイズ統計もそうなりつつあるように思う)。尤度、最尤法、一般化線形モデルに授業で得た予備知識なしに出会うのでは、論文を読む学生や将来の院生がかわいそうだー悪意(か未必の故意)を疑われてもしかたがない。院生には吸収力と自己消化力がかなり高い人が相当数含まれているので、教えないと研究のダムとなってせきとめているようなものだ(”決壊”した時にはさんざん言われるわけだし、教えているとだんだんよくわかってくるので自分の頭を回転させるのにも役立つ)。
 ”生物統計”と直接・間接に銘打った教科書はかなりあり、1つの山地をなしているので、日本語でのGLMや最尤法で一貫した生物統計教科書や、95%くらいベイズ統計という生物統計教科書(のこりの約5%はベイズ以外もありますという説明)がそろそろあってもいいと思う。
 さて、どうして、こんなに”統計の基本”が変わってきたのだろう。1つの大きな原因は、あまりに物質的だが計算機の速度である。コンピューターで計算することを禁止し電卓のメモリー数を10くらいまでに制限してしまえば[非線形の最大化ができるようなものは御禁制の品]、ノンパラメトリック検定普及期以前に戻れるだろう。ひとによっては、”古き良き時代”を回想しノスタルジアにうちふるえるかもしれない。私は、100を越える点のある散布図をロットリングで描くのは”苦役”だと思うので、古き良き時代だとは思わない。(続く)

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