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2005.03.15

[統計]対数変換

 観察(観測)の結果、得たデータがどうも分析方法の”要求”にあわないため、データの何らかの関数をデータの代わりに分析することはわりと多く行われている(もちろんどんな関数でもいいわけではない。ある関数がある現象に使われ始めたときはたいてい理由があるのだが、ときには理由が忘れられ慣性で持続していることがあるーその狭い分野の外部の人から見ると呪文化していることになる)。
 データの何らかの関数をデータの代わりに使う方法を、変数変換といい、生物関係だともっとも多いのはデータの対数を使う対数変換だろう(他にも私の仕事の種でもある角度変換=逆正弦平方根変換などあり)。この対数変換というものはそれほど扱いやすくはない。なお、対数は正の値でないととれないから、以下は全部正の値の話である。
 対数にしてもそのままでも大小は変わらない。つまりx>yならlog(x)>log(y)である。これは対数関数が単調増加だから当たり前である。では、平均についても同じことが言えるだろうか。たとえば、同じ個数のデータが2組あって、1組目の平均>2組目の平均なら、1組目のデータの対数の平均>2組目のデータの対数の平均であろうか。
 もちろんそうとは限らない。”そんなはずない、対数をとっても不等号の向きは変わらないんだぞ”(実際に私より年配の方からそう言われたことがある)と言われる方は以下の例をどうぞ。
 10個で1組のデータを2組準備しよう。片方は(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1000)つまり1が9つで1000が1つ、もう片方は(10,10,10,10,10,100,100,100,100,100)つまり10が5つで100が5つ、である。対数をとらない、ときの平均はいうまでもなく最初の組のほうが大きい。対数をとったときはどうなるだろうか。最初の組は0が9つで3が1である。2番目の組は、1が5つで2が5つである。最初の組のほうがだいぶ小さい。
 これを、お金だと思ってほしい。私が10円玉5枚と100円玉5枚を準備するので、1円玉9枚と何らかのお金1つ(金塊や小切手でもいいものとする)を対数をとった後での平均が私のほうと同じに(あるいは私のほうより大きくても良い)なるように準備していただく。そして、私の用意した10円玉5枚&100円玉5枚と交換すると、対数変換が実感できてよいわけである。私は「10円玉5枚&100円玉5枚」の側を用意するので、どなたでも挑戦してください(国立大学法人の非役員教員が挑戦するという場合には支払能力の証明を先にお願いしますーそうでないと無意味だから。その際、国立大学法人での生涯賃金の計算はほとんど意味がないので、他の資産や収入に関するものだけで結構です)。
 この例は、いろいろ複雑な修飾物がついていないのでデータ解析的リアリティーはないが、多少わかりやすいだろう。ばらつきが重要なわけである。もっと飾りがいろいろついたリアリティーのある例は、久保拓弥さん(北大)が『生物科学』という雑誌に書いている。

 ここでの例は常用対数にした。自然科学では自然対数のほうがずっと普通である。ただ、自然対数にしても例としての意味はほとんど変わらない。
 
 

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